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在室天体とハウスルーラーの違い(&ハウスシステムとか……)

 占星術をしていて、それなりに感じるかもしれない疑問として

「~ハウスに天体があれば、その天体の様子が~ハウスをあらわしていて、天体がなければハウスルーラーをみるというけど、天体があってもハウスルーラーはみるのでは……?ハウスルーラーと在室天体ってどっちが大事なの?ハウスルーラーと在室天体の星座って、どんなふうに折衷するの……?」

みたいなのがあると思います。というわけで、この記事ではそれについての個人的にわかりやすかった比喩を書いてみます。

農園のたとえ

 まず、ハウスルーラーと在室天体、ハウスカスプの違いについては、このリーディング例がすごくわかりやすいです(このチャートは、ある人が農園付きの家を買った時に、契約の書類にサインしたときのチャートです。アイヴィ・ヤコブソン『Here and there in astrology』110~111頁より)。

 4室(土地)のルーラーの金星は、牡牛座にあるので、その土地は肥沃で実りの豊かなところ。POFがあるハウスは、さらに豊かなものになるので、4室天秤座の洗練された上品さのPOFが牡牛座金星の実り豊かな土地をさらに良いものにしている

 牡牛座の金星は、魚座木星と60度になっているので、木星は肥醲な果物ももたらしてくれる。さらに、金星は乙女座の土星とも120度なので、堅実で朴実なもの(手間をかけて育てた野菜)もついてくることになる。

 4室には海王星があるので、その家は夢想的な美しさがあって、しかも海王星は9室(異国)のルーラーなので、旧世界ふうの優雅な美しさが4室にあることになる。(このチャートは、ある人が農園付きの家を買った時に、契約の書類にサインしたときのチャートです。アイヴィ・ヤコブソン『Here and there in astrology』110~111頁より)

……なるほど、という感じです。まず、ハウスルーラーはそのハウス全体の雰囲気のような形で出てきます。ここでは、4室(土地)のルーラーが牡牛座にあるので、牡牛座的な肥沃さを帯びた金星(豊かな自然に飾られた綺麗さ)みたいになります。

 さらに、4室には天秤座POFがあるので、4室に上乗せされる豊かさは、“天秤座的な洗練された上品さ”という豊かさです(ハウスカスプの星座はほとんど読んでいないらしい。尤も、ハウスルーラーの天体と、ハウスカスプの星座は、けっこう象意が似ている感もあるので、ハウスルーラーの象意だけでも十分なのかもですが)

 つづいてハウスルーラーのアスペクトです。牡牛座金星は魚座木星(どちらもドミサイル)と60度なので、木星的な余裕のある肥醲でふるふるした豊かさが、4室ルーラー金星に絡んできます。もう一つアスペクトをもっている天体として、乙女座の土星があって、これは質朴で堅実な雰囲気があるので、ここでは“時間をかけて丁寧に育てた野菜”というふうに読んでいます。

 さらに、在室天体の海王星については、その農園付きの家がどのような雰囲気を帯びているかをあらわすように読んでいます。ホラリーとかでは、ハウスカスプのルーラーを“~ハウスルーラー”、ハウスに入っている在室天体を“~ハウスの副ルーラー”としているので、ハウスカスプのルーラーが、そのハウスの主ルーラー、ハウスに入っている天体は副ルーラー(付加情報)のようになります。

 海王星はここでは9室の主ルーラー、さらに4室の副ルーラーなので、異国風の趣き(9室)は農園(4室)の中にあらわれる、さらに4室の肥沃な土地を飾るもの(4室副ルーラー)……という組み合わせです。

 この短いリーディングの中に、こんなに基本的な例が凝縮されているってあまり無いと思うのですが、これをみていると、ハウスルーラーが全体の基調となる雰囲気を作っていて、ハウスルーラーとアスペクトする天体やハウスの在室天体が装飾部のようになっているのが感じられます。

ハウスシステムの違い

 ……ということで、大体はハウスルーラー・在室天体などの違いはイメージできる気がしてきたけど、今度は

ハウスシステムによってカスプのある星座が変わるのだけど、どう読むといいの?プラシーダスだと、カスプの星座と在室天体の星座が違うのだけど、それって折衷できるの?あと、ハウスシステムによって何か結果が違うとかある?」

みたいに思えてくるかもです。これについても個人的に思っていることを書いてみます。

 まず、ハウスシステムの種類として、こんな感じで大きく分けられます。

等分型:ホールサイン、イコールハウス
不規則型:プラシーダス、コッホなど

 さらに、ホールサイン以外は、カスプの星座を在室天体の星座が違うということが起こります。ちなみに、アセンダントが末期度数にある場合、ホールサインで読むとほぼ星座一つ分ずれるようなホロスコープもあったりします(プラシーダスの12室部分が、ホールサインでは全て1室になってしまう……等)

 個人的には、極端な高緯度地域ではホールサインorイコールハウスで読むほうがいいと思うけど、それ以外のときはどのハウスシステムでも似ている意味になる……と思っています。

 というわけで、プラシーダスとホールサインで同じホロスコープを読み比べてみます。

 ルイス・キャロルは『不思議の国のアリス』の作者として知られていますが、児童文学家というより本業は論理学者・数学者&大学教員です。『不思議の国のアリス』って、幻想的で情感あふれる児童文学っていうより、独特の捻れた論理とか奇妙なナンセンスを多用した滑稽なようなコケティッシュなような作品で、論理学に通じた人が作ったというのも納得な感じだったりします。

 というわけでなのですが、まず思うのが、乙女座土星と山羊座水星のミューチュアル・レセプションがあるのですが、土星はプラシーダスだと9室、ホールサインだと10室です(水星はどちらで読んでも2室です)。

 さらに、太陽はプラシーダスだと2室、ホールサインだと3室になります。プラシーダスで読んだ場合、2室(モダン的にはお金を得る方法、才能や技術など)に水星(論理)があって、9室(学術)の土星(権威、伝統)と相互に支え合っているので、論理学家というのも頷けます。ホールサインで読むと、2室水星と10室土星なので、論理学・数学の大学教員というのもやはり合ってます。

 さらに、太陽はプラシーダスだと2室水瓶座&天王星と合になっています。持っているもの(2室)として水瓶座天王星(奇険で新穎な論理)と合になっている生き方(太陽)……ということで、合ってそうです。

 ホールサインで読むと、3室(基礎知識、意思疎通)に太陽天王星合があります。これは、どことなく詭怪な論理学を活かした児童文学……と読んでみてもいいのかもです(あるいは、太陽がデトリメントにあって、天王星からレセプションを受けているとすれば、ちょっとヴィクトリアンで理知的な雰囲気に染まった生き方……)

 というわけで、ここまでのリーディングを整理すると、こんな感じになります。

ホールサイン
2室:山羊座水星+10室:乙女座土星
 2室(技術・才能)と10室(仕事)のミューチュアル・レセプション
3室:水瓶座太陽&天王星
 3室(基礎知識)で、新奇な論理学を活かした児童文学

プラシーダス
2室:山羊座水星+9室:乙女座土星
 2室(技術・才能)と9室(学術)のミューチュアル・レセプション
2室:水瓶座太陽&天王星
 2室(技術・才能)で、新奇な論理学を活かした児童文学

 ……どっちも通じてそうです。ちなみに、プラシーダスでは3室(児童向けの文学など)のルーラーは天王星or土星……となります。天王星は2・3室、土星は2・9室にかかわる天体なので、やはり論理学などを活かした児童文学……という形になってきます。

 さらにいうなら、プラシーダスの9室カスプのルーラーは太陽、太陽も2室水瓶座……という感じで、だいたい同じような意味に収斂されていきます。

 プラシーダスの10室ルーラーは金星、金星は1室射手座にあります。Ascルーラー(1室ルーラー)は木星で、木星は3室水瓶座にあります。ルイス・キャロル本人の雰囲気は、3室木星水瓶座的論理学・数学の謎かけ問題集みたいなのも出していたとのことで、木星の学術をあえて一般向けに楽しめるようにアレンジして3室化していて、その学術は水瓶座的な論理性を帯びている……)という意味っぽいです。

 プラシーダスの2室ルーラーは土星(9室乙女座)ですが、2室水瓶座の太陽は天王星との関係の方が深くみえます(天王星からドミサイルでレセプション&天王星と合)。さらに、天王星は3室ルーラーも兼ねているので、太陽は2室にあるけど3室との関係も濃い……みたいに読めます。

 ところで、10室ルーラーの金星を読んでない気がしますが、1室(その人の性格)で金星火星リリス合(金星は10室で名声などのルーラー、火星は4室と12室ルーラーなので隠れた安心感のルーラー、ブラックムーンリリスは隠れた欲望)ということで、とりあえずサビアンシンボルで察して……。
(最近ダークムーンリリスについての記事を書いたのですが、そのせいで恥ずかしくないホロスコープなんて無い、という気がしてます……。ルイス・キャロルの名声を高めたのは、『不思議の国のアリス』を出したことに依ってます)

 概していうと、ホールサインでは最も核心的な部分だけが出てくるという印象、プラシーダスなどの不規則な分割になるハウスシステムでは、それぞれのハウスごとの複雑な混ざり合いが出てくるという印象です(どちらで読んでも大体は似たような意味になっていく感じはあるけど……)

 というわけで、ハウスシステムによる違いとして、等分型のハウスではその形に似て、古朴で簡明な雰囲気でリーディングできて、不規則型のハウスではその形に似て、どことなく複雑で濛漠とした混ざり合いの多いリーディングができると思います(在室天体やハウスルーラー、レセプションなどの関係もより複雑だったりします)。

 個人的にはプラシーダスとかの不規則型のほうが微妙な要因まで読めて楽しかったりするけど、ホールサインも常に含めて読んでいるほうが整理させる感はあるかもです。

ABOUT ME
ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)の月天王星海王星合だったりします笑。 易・中国文学などについてのブログも書いてます

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