創作・エッセイ

冥王星と意志、あるいは海王星と

 占星術用語の中で、個人的にとても説明が難しいというか、感覚的に理解しづらいものとして「冥王星」って実はあるのではないかと思っていて、

破壊と再生、0or100、極限状態、究極性、執著、カリスマ性、(進化占星術では)その時代の魂の性質、(スピリチュアル寄りの解釈だと)やや残酷なまでの深すぎる精神分析や直感力、もしくは強い念や霊力を発信する(海王星は受信して、冥王星は外のものを呑み込む感じらしいです)、火星の強化版……

みたいな意味が並べられているけど、破壊と再生がなぜカリスマ性につながるのか、あるいは極限状態と発信する霊能力なのか(その奥にはどんなつながりがあるのか)……ということが個人的にかなり謎だったりしたのですが、それについて思うことを書いてみます。

 まず、冥王星って実はショーペンハウアーのいう“意志(生きようとする盲目的な衝動のこと。これがある故に、この世は争いや奪い合い、殺し合いが止まらないとショーペンハウアーは考えた)”に近いのではないかと思ったりしているのですが……。

 よく云われる「破壊と再生」も、破壊した後に生きる力を呼び醒ます(善とか悪とかを越えて、ひたすら生きようとする力)、0or100はトランジットとかで巡ってきたときにそのまま冥王星に潰されるか(0にされるか)、その力を得て蘇るか(100になれる)、その極限状態の中で火星(闘争心)の一段上のver.(生と死をかけた争い)、もしくは激しい執著を孕んだ感情、マンデーン系の読み方では、ある時代の性質そのものを意味するので、例えば射手座冥王星時代に栄えた人たちは山羊座冥王星時代に凋落していくけど、冥王星は別に山羊座的な人たちの味方というわけではなくて、水瓶座に移れば水瓶座的な人たちの味方になってしまうように、一つの価値観とかに縛られずに興廃を繰り返させているだけの純粋な力(あるいは生きているものの盲目的で無意味な生滅)、その盲目的な興廃の中での容赦のない様子があるときは“カリスマ性”、あるときは“ボス感”、あるときは人を呑むような圧(or霊力)みたいになって、本能に直結しすぎた精神分析……みたいに派生しているのではないかと思ったり。

月海王星合orハードの話

 月(感情)と海王星(悲しみからの幻想や嘘、妄想、芸術など)が合orハードだったりすると、個人的な勝手な印象だけど“厭世的・悲観的な虚無主義”に共感する人が多いのではないかと思っていて、具体的には、この世はどこまでいっても人と人との奪い合いと憎み合いなのだから、むしろ自己実現(太陽)などしない方がいい、その方が人を押し除けることもないし、永遠に静かなまま何も起こらず、そもそも余計なことをみずから為して人から怨まれて害され枉死するより、静かに閉じ込められたままの方が遥かにましなのでは……(もっと云うと、冥王星が迫ってきたときに再生によって這い上がるなんてことは、この世を乱しているだけ、他者を殺しているだけで、苦しみの中を這い回りつづけるだけではないのか)みたいな感情があるのかも、とか思うのですが(勝手な思い込みです、少なくとも自分に限って云えばある)。

 このことについて、とりあえず(最初は強制的にでも)太陽をやってみるとか、行動の癖が~とか自己肯定感とか幼少期の思い込みとか月の欠損とかダークムーンリリスとか色々な方法論が出されているけど、個人的にはそういう問題じゃないというか、もっと価値観的に納得できるものがないと表面的に無理やり曲げているだけというか、違和感を抑え込んだだけになっていて、本質的に解決した気がしない(少なくとも個人的には納得できる答えではなかったです。他の人がどう思うかは知らないけど)と思っていて、特に太陽と冥王星のハードだったりすると、太陽的なことをするときに冥王星的な“盲目的な生きる為の衝動”に関わらざるを得ない故に、さらに月と海王星側の嫌悪感は増すのではないか……と思うのですが、茨の蓆に棘叢の褥、已矣哉、已矣哉……です。

 このひたすら死にたくなるような吐き気のする世を生きる(生まれてしまった故に苦しまずに生きる)方法って、強いていうなら荘子の受け売りだけど、“是非を忘れる”“喪我(我を喪う)”くらいなのではないかと……。

 是非を忘れるというのは、良い悪いの判断そのものを捨てる(生の醜さを憎むわけでもなくて、死の安らかさに憧れるわけでもなく、倫理的な気後れを感じるのでもなく、静かな平穏を好しとするのでもなく)、喪我というのもみずからの身を隠すというよりもみずからの身を忘れる(善い悪い・自分のやっていることはどうなのか……的なことを忘れる)・この世から隠れたり逃れたりすることも忘れる、みたいな意味で、それがこの悲しみに溢れた世界で唯一生きていく方法(同時に海王星が好むような“真の渾沌”“真の茫昧”)ということなのではないかと……(別にこれだけが絶対の価値観ではないと思うけど、月海王星ハードの人が太陽的なものに納得できるかもしれない方法の一つとして書いてみたので、まぁそういうことです)

………………

 今からみると、この解釈は少し浅いというか、片手落ちなところがけっこうある。色々と書き加えた版はこちら。

ABOUT ME
ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)の月天王星海王星合だったりします笑。 易・中国文学などについてのブログも書いてます

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