音楽

スライ・ストーン 四海は皆な兄弟だけれども

 さっそくですが、ホロスコープを読んでいきます。
 記念すべき一回目は、70年代初頭に活躍したスライ・ストーンです。

 まず、目を引くのは火星に刺さるトランスサタニアンのカイトです。まず、目を引くのは火星に刺さるトランスサタニアンのカイトです。

 最も華のある土星・トランスサタニアンと火星のカイトから見ていきます。

 グランドトラインになっているのは風星座で、そこに冥王星が火星座で加わるので、なんとなく煽り立てて火を燃やすイメージで、サビアンも見ていくと

火星:水瓶座6度 ミステリー劇の演技者
土星:双子座7度 古風な井戸
天王星:双子座2度 こっそりと靴下の物をつめるサンタクロース
海王星:天秤座1度 突き通す針により完璧にされた蝶
冥王星:獅子座6度 時代遅れの女と最先端の少女

 まず火星 ミステリー劇の演技者ですが、仮面をかぶって演じるようにして革新的に(水瓶座)気持ちを燃やす(火星)という感じで、それが冥王星 時代遅れの女と最先端の少女からかなり圧を受けながら、それを取り込んで乗り越えるので、時代の流れを強いうねりのように(冥王星)映しつつ表現せよ(獅子座)ですね。

 天秤座の海王星は、あまり難しく読まなくても、整えられた蝶の標本のごとく完璧で美しく(天秤座)あることが理想(海王星)みたいになりそうだし、天王星は双子座の明晰さをはっきりと持っていた1度からぼんやりとした表現でいつのまにか新しい考え(天王星)を伝えていく(双子座2度)、さらに土星はたぶんだけどソフトアスペクトなので良いほうに出るとすると、制限として感じている井戸端会議で固められていた集団の力を、今度は火星の作る舞台のための盛り上がりに使うような感じがする。

 この特徴がもっともよく現れていると思うのはアルバム『Stand』の「Everyday People」で、変革を望んでいるのに、まったく攻撃的ではなく、むしろ美しい共同幻想に彩られていて、「四海皆な兄弟」っぽい感じがする。スライの音楽は一種のアジテーションを帯びていて(アジテーションは煽るという意味だけど、今の日本語の煽るには理想への渇望による煽りという意がなくなっているので、あえてアジテーションで…)、火星のカイトがすごくいい方面に出ていそう。

 スライの名盤とされるのは3枚あるけど、個人的には『暴動』がもっとも好きで、ウッドストック後の共同幻想の崩壊を感じさせる雰囲気があります。占星術的にいうと、天王星・土星からスクエアの水星が多く入っているのもアルバムの色になっていて、天王星・土星は海王星・冥王星からもアスペクトがあるので、トランスサタニアンはすべて間接的に水星にも流れていることになりそうです(もっとも土星・天王星色は強いけど)

 水星は魚座 ラッパを吹く少女なので、表現そのものはかなり純粋でやはり柔らかい理想を感じさせる気がするけど、これが知らず知らずに変革を流し込む天王星(双子座2度)や、自然に出来上がった集団の考え方が人々の間に繋がっていることをあらわす土星(双子座7度)と屈折(スクエア)しているので、簡単な語彙を使っているのになんとなくねばっとした苛立ちが出ているように不釣り合いで、それが却って魅力的だと思ってます

 その屈折した表現をすごく感じるのが「Family Affair」(アルバム『暴動』に収録)で、ちょっと無機質なリズムにあっさりしたアレンジからは想像できないほど……

It’s a family affair, it’s a family affair
It’s a family affair, it’s a family affair

One child grows up to be
Somebody that just loves to learn
And another child grows up to be
Somebody you’d just love to burn
Mom loves the both of them
You see it’s in the blood
Both kids are good to mom
Blood’s thicker than mud

It’s a family affair, it’s a family affair

それは家の事情かつながりなんだろうけれど

ある子どもが勉強好きに育ったり
あるいはもう一人の子が、誰かにとって燃やしてやりたいような
人間になったとして、
母親はその二人をどっちも愛していれば
あなたはそれは血のつながりによると思うし、
二人の子たちも母親を大事にしていて
「血は泥水よりも濃くねばりついている」なんて云うとしたら
それは家の事情かつながりなんだろうけれど

 なんていうか、ファンク系の曲とは思えないような歌詞をしていて、エレメントの偏りでみていくと水が多くて、ファイナルシグネチャーは蟹座と魚座なので、すごく感情のつながりや擦れ違いに敏感で家族的な雰囲気にきれいな世界を感じてそうだし(Sly & The Family Stoneというバンド名にもよく現れている気がする)、ファンクにありがちな性的な隠喩もあまりなくて、ほんとうは理想をそのまま書きたくなるところを、あえて逆に書いてそれでも美しいつながりへの思いを持っている……という面だと思う。

 もっとも火星要素も少し感じさせる曲はあって、「Poet」(同じく『暴動』収録)では

My only weapon is my pen
And the frame of mind I’m in
I’m a songwriter, a poet
I’m a songwriter, a poet

私の武器はペンだけで、あとは私の心の形
私は曲を作ったり、詩を書いたり

 これは火星につながるトランスサタニアンのカイトを思わせるというか、心の形が様々に変わりつつ演じ分けるのは火星のサビアン:水瓶座6度 ミステリー劇の演技者らしいかもです。

 それ以外の惑星のサビアンも見ておくと

太陽:魚座25度 聖職の浄化
金星:牡羊座23度 重く価値があるがベールに隠された荷を運ぶパステルカラーの服を着た女

はどちらもアスペクトなしで、金星のサビアンは身籠った女性の象徴とされていて、生命の礼讚と世界の浄化で、

月:サビアンは不明だけど、ほとんど確実に蟹座木星と合
木星:蟹座16度 手書きの巻き物を目の前にして正方形の前にいる男
リリス:蟹座20度 セレナーデを歌うゴンドラ乗り

の月蟹座組は、ほんとうに月らしい安心感がトランスサタニアンの大き過ぎる力を受けた火星(冥王星の時代のうねりと向き合うようになっている)から離れたところにいて「Runnin’Away」のような疲れて軽くなりすぎた気分はもしかするとこれかもと思う。

Running away to get away
Ha ha ha ha
You’re wearing out your shoes
Look at you, fooling you

Making blues of day and night
Hee hee hee hee
You’re stretching out your dues
Look at you, fooling you

Shorter cut is quicker but
Ha ha ha ha
Time is here to stay
Look at you, fooling you

Another day you’re farther away
Ha ha ha ha
A longer trip back home

 月の感じる蟹座のような安心感と、それをつくるために駆り立てていくトランスサタニアンの綣戀して去りえない、むしろもっと遠くに行かせようとするけど、それはあまりに遠すぎる。

 ちなみに火星をリズム、水星を歌詞みたいにすると(火星を活かすみたいな記事で打楽器をやるorリズムの効いた曲を聴くみたいなのがあった気がする。どこで読んだか忘れたけど意外と当たっている仮説だと思う)、火星は水瓶座、水星は魚座なので、分離気味で短いリズム(ベースで伸ばす音がほとんどないような)とうねうね繋がったような歌の混ぜ方はそれっぽいアレンジです。

 歌詞は一部省略したり、自分で訳したので誤訳があるかも。

ABOUT ME
ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)の月天王星海王星合だったりします笑。 易・中国文学などについてのブログも書いてます

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